販路開拓コンサルタントの千本です。
皆さんは資金管理をしっかり行っていますか?「ウチの会社は黒字だから」と安心していると、思わぬ現金・預金の不足に慌てることになるかも知れません。なぜなら、損益計算と現預金の動きはイコールでは無いからです。
一般に、損益計算は取引の事実が発生した時に帳簿に記載する「発生主義」を採用していますので、現金の入出金タイミングとは必ずしも一致しません。例えば「掛け」で商売する場合、売上高は商品が売れた時(=売上の発生)に帳簿に記録されますが、売掛金の入金は後日になる事を考えれば、損益と現金の動きのズレは簡単にイメージできるでしょう。
ですから、たとえ利益が黒字でも手持ちの現預金が不足する事はあると、頭に入れておく必要があるのです。そうした思わぬ現預金不足にならないために、手持ち資金の変動を予見しておく事は非常に重要です。そこで使用するツールが「資金繰り表」です。
資金繰り表とは、現金ベースの入出金額と残高の「予定表」のことです。表の構成は簡単で、現在の現預金残高をスタートとして、今後発生する現金収入と支出の予定金額を月毎に記入し、毎月の現金残高を計算で求めるものです。
資金繰り表のサンプル画像を載せておきます。
Excelなどの表計算ソフトを使えば、資金繰り表は簡単に作れます。関数も足し算・引き算の式しか使いませんので、誰でも作れます。(サンプルはわかりやすいようにセルの配置や色分けなどアレンジしていますが、皆さんはシンプルな表で全く構いません)。入力単位は千円単位で丸めた数字で構いません。
<表の作り>
①横方向: 月ベースで列を配置。実績の記入欄と、今後の計画欄を設けます。
過去の実績を入力する理由は、過去の現金収支の傾向から、今後の予測の参考にするためです。
②縦方向: 大別して次の通りに配置します。
[青] 前月末からの繰越現金残高(=つまり月初残高)
[緑] 営業活動での現金収入・支出: 下記の「借入や返済」以外は全てこの欄に記載します
[赤] 財務面の現金収入・支出: 借入や返済に関わるものが該当します
[青] 翌月繰越残高(=つまり月末残高)
なお、営業面の現金収支とは、売上・仕入・給与・税金・・・など、営業利益を計算するイメージで捉えておけば良いでしょう。これに対して財務面の現金収支とは、金融(借入・返済)関連の項目が並びます。役員借入金もあるなら、財務面に記載しましょう。営業面・財務面を無理に分けなくても構いません。
思わぬ資金不足が起こらないよう、ぜひ資金繰り表を作成してみて下さい。早めのアクションで資金不足への手当が図れます。